映画「127時間」

「127時間」を観て来ました。
監督は「スラムドッグ ミリオネア」のダニー・ボイルです。
主演俳優のジェームズ・フランコは殆どたった一人の登場人物です。
登山家アーロン・ラルストンが体験した実話をもとにした原作「127時間」を映画化したものです。

2003年、アメリカ・ユタ州の峡谷で、アウトドア好きの27歳のアーロン・ラルストンはロッククライミング中に 誰一人周りにいない断崖に落ちて、肘から先を岩に挟まれて身動きがとれない状態で127時間(5日間)を過ごした記録です。

その間、自分に冷静にと言い聞かせながら様々な脱出方法を試みるのですが、食料も水も尽きて意識も朦朧として命の限界が近づき、ついに挟まれた片腕を切り落とす決断をするのです。
朦朧とした意識の中で愛する両親や幸せだった日の出来事を妄想するのですが、それも孤独に耐えれる源になったのではないでしょうか。
常に自分の不自由な姿をビデオカメラに記録して、両親にもお別れのメッセージを吹き込みます。孤独の中でもカメラに語りかけることで外界との繋がりを感じていたかったのでしょうか。
最初は脱出のために小さなナイフで岩を削るのですが、ナイフの性能も悪くて硬い岩が削れません。この辺りは子供の頃から慣れ親しんで来た自分の庭のような土地柄です。気軽な装備で行き先を誰にも告げずに出て来てしまったことが悔いられます。
突然激しい雷雨があり、雨が岩に流れ込んで肩まで水が来て溺れそうになります。水の力で腕を挟んでいる岩が浮き上がり、これで助かる!と一瞬安堵したのですが、現実は何も変わりませんでした。必死で水筒に雨水を受けました。
一日のうちに短い間だけですが渓谷に陽が差し込みます。観ていてもホッとする瞬間です。
先が丸くなったナイフで肘の部分から切断する場面はまともには見ていられませんでした。
腕が離れて身体が自由になって、岩場から立ち去る時、空を仰いで言った「Thank you ! 」には感動しました。
強靭な肉体と不屈の精神力、生命力、知識、勇気、家族愛等々、、、バランスの取れた人間にしか出来ない奇跡の生還でした。